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震災時の銀行券供給と銀行理論

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全国各地と海外から,大地震に際してのご心配メールを沢山頂きありがとうございました。
地震発生時は自宅におりましたが,建物が壊れるかもしれないという恐怖心をもっておりましたが,現在は停電計画とその実行が気になる程度で,被災された方のことを考えると,考えるに値しないと思っています。

海外からの救援隊は,自前で食料も持参し,本当に純粋な救助という活動をなさると聞いて,涙を流して感謝しています。できれば,彼らが帰国なさるときには,日本国民全員で感謝のお見送りをしたいと。

ところで,今回の震災で,日本銀行は即座に7兆円の買いオペを実施しました。もちろん,市中銀行に対するオペなのですが,市中銀行が有する日銀当座預金の残高を確保することで,公衆の銀行券需要に確実に対応するためのものです。

例えば,震災によって,公衆の銀行券需要が高まり,市中銀行の流動性預金が解約されてATM等から銀行券が流通に出て行くと,確かに流通銀行券の量は多くなりますが,一国の貨幣量が増加すると言うことではありません。

銀行券(現金)を増加させれば,市中銀行にとっての本源的預金が増加する結果,(フィリップス流の=浅はかな金融論の教科書的な)市中銀行の信用創造活動を介して貸出が増加し経済が活発になるという考え方が主流派を占めているわけですが,それは誤りです。

銀行券とは,市中銀行預金が解約されてのみ流通に出て行く以外,銀行券の供給ルートはありません。今回のように,震災時に取引需要によって流通に出て行く銀行券も,混乱が収まれば,やがて市中銀行を介して日本銀行に還流します。

私は,昨年,政府紙幣発行論を理論的に否定する論文を発表しましたが(誰も読んでくれませんけど[笑]),今回のような悲惨な現実は,金融理論,特に私の研究領域である内生的貨幣供給理論の理論的整合性を裏付けることになります。

関東圏は,鉄道が機能しておらず,都市機能が麻痺している中にあって,貨幣・金融機能のすぐれた一面を再認識するばかりです。

それと,我々は気軽に心配心配と言いますが,震災の現場で状況をみていない。そして心に持つ家族や人間関係の深さは,当事者でしかわからない。人の苦しみを理解するということは,まず現状を認識することからはじまると思うのです。

どこまでいっても本人にはなれなくても,目を覆ったりしないで,汚い部分まで認識させてもらう,これが理解の第一歩だろうと思う気持ちが日に日に大きくなります。
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ひろ

こんにちは、無事でよかったですね。
災害から一週間、実態が徐々に明らかになるにつれて、被害の甚大さに驚くと同時に、被災者のケアが進むことを願っています。

先日の3日間、学会で浜松にいました。開催中止の危機もありましたが、学会会長の判断で開催が決定しましたので、参加しました。
結果、東北地方の大学は不参加が当然としても、国の研究所が多く集まるつくば(茨城)からの不参加が多く、中止になる発表が多数の学会となりました。
企業ブースの中止も相次ぎました。
今回の出張で思ったことのひとつに、学術活動は平和の上に成り立つのと改めて思い知らされました。
被害にあわれた学術拠点の早期の復帰を願うばかりです。

先行きは不明ですが、機会があれば、震災ボランティアで現地にて微力ながら復興の貢献をしたいと思っています。
現場を実感するという点でも、重要なことかと思います。














by ひろ (2011-03-19 13:23) 

solomon

>ひろ さん

浜松もなかなか美味いものあるでしょ。静岡は気候が温暖で素敵なところですよね。

学術や芸術は特に,安定的環境が必要ですよね。食うのに精一杯では活動できません。なのに,食うのに精一杯の人たちが研究の世界を目指す人が沢山います,私や,ひろさん(勝手にすみません・笑)を含めて。

こちらも都内の学会部会や研究会は軒並み中止ですよ。あとは,新年度に向けた懇親会が軒並み中止で,この春は良いお酒の飲み放題がなくなりそうです。だいたい学部と修士の卒業・修了式がなくなりました。

人の苦しみは,当事者でなければわからないでもんね。親・兄弟でもわからない苦しみが沢山あるものですよ。
by solomon (2011-03-19 19:09) 

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